※ こちらは一人の石好きが夢想する結晶創世記です。

 

前回のお話 “相沢川の水晶を見て気づいたこと”

採取した白濁した方の結晶には透明な結晶には見られない特徴が。

1.錐面にも条線がある。

2.錐面と柱面の境界があいまい。

3.全体がふっくらしている。

この特徴を持つものを、下仁田型水晶と命名しました。ほほほ(^^)

       

前回の考察 その1 錐面は柱面の成長途中の姿か。

⇒ 見方を変えれば、柱面の条線は錐面の重なりが現れたもの。

・・・頭の中だけでは今一つ結晶格子のつながりが曖昧なので、
SiO2の正四面体を作ってみました。

点と点、線と線、面と面との接合、色々な繋がり方がありますが・・・

面と面、無難?しかし・・・

 

  

   実際につなげてみると六角錐ができませんでした。正四面体の二面角は70.5度、

   5個つなげただけで352.5度、隙間のある五角形になってしまいます。

 
  てっきり六角錐が現れると思ったのですが・・・

 

ただ、なんとなくつなげていくと・・・

 

おや、螺旋が見えてきました。

そこで前回触れたスプリングエイトによる水晶の螺旋構造をみます。・・・・点と点の接合でした。

 

 ここからどのようにして水晶が出来上がっていくのか・・・

お手製の四面体を幾つか繋げてみましたが
余計わからなくなりました!水晶の臨界結晶核、その形は?

そして錐面はどのようにして形成されるのでしょうか?
上記の図を繋げて見ました。



a、b軸の間くらいから見た図はこんな。
よくわからないけど
c軸から見ると、ああ、 

  

 

水晶六角形の外郭が浮かび上がってきました。

三角形の3と四面体の4、錐面の数12、掛け算か。


錐面はこの角度でしょうか?




結晶核からの六角錐は螺旋の積み重ね?   

そして高温水晶の、あの形へ・・・? 


 

“条線は錐面の重なりか?”

柱面は結晶核からどのようにして現れるのか。

溶液中を幾つもの“そろばん玉”が漂っている様を想像します。
成長の栄養ともなる物質が”ゆらぎ”によって濃いところ薄いところと。
重力の影響も相まって・・・育ってゆく・・・。

→岩などに引っ掛かる物も出てきて二次元成長か、はたまた螺旋成長を始める。
   

   

 

母岩(マグマが流れ込んだ空隙の岩壁)に付着した結晶は、物質が面に取り込まれ入れ子型に大きくなってゆきます。

やがて乱立してくる他の結晶たちと側面空間の物質の取り合うになり供給が減り、また物理的にも自由空間の頭上に比べ相対的に阻まれることで側面の稜が埋まらなくなり”そろばん玉”の形が
c軸方向へ伸び始める、ここに柱面(m面)が出現するのではなかろうか?
ある程度大きくなった結晶はひねりながら、かつ面成長もしつつ大きくなるのでしょうか?
でないと右水晶、左水晶の存在理由がわかりません。

そしてその痕跡が条線なのではなかろうか?

母岩に付着した下方の六角錐部分は、あるときは隣接結晶と塊状になりながら底面を築き、ある程度広がるとそれ以上柱面は太くならないのではないでしょうか。

 ベルグ現象

因みにハーキマーダイヤモンドのように自由空間に単独で成長した水晶にも柱面が見られますが・・・。

・結晶格子のひずみによりわずかな隙間が柱面出現の一因でしょうか。
 

 高温水晶の結晶格子は低温と比べ正六角形でスキがない感じ。

・物質の供給がその空間の狭さと自身の成長によって十分になされず、柱面ができても長くなる前に成長が止まってしまうのか?


フ~、ここまで読んでくださりありがとうございました。
答えのないまま、次回へ。(次回があるのか?)
以下は余談です。



余談 1 錐面に条線がある面と無い面について。

 
こちらは下仁田オレンジ水晶です。
r面には条線があるのにz面にはない。

  

一般的に条線が見られない面に見られるものとして、

 ・位相のずれた蛇行による成長痕

   ・二次元核成長にみられるゆらぎの島

 ・三角の蝕像

→ 物質供給が減り螺旋成長から二次元核成長に移行したのか、

あるいは表面に異物が付着して島ができたことが影響しているのか。

大きくなった結晶の表層部は溶解と形成を繰り返しスムーズな界面となるのではないか。

逆に錐面に条線が見られるという事は

まだ柱面が成長する余地を残しながらも物質の供給が突然止まってしまったことを意味しているのではないか。




余談 2
 条線パターンが隣り合う柱面で異なる

・それぞれの柱面の
a,b軸方向の成長速度が異なるため錐面のすそ野の厚みが異なる。
(先述した母岩に付着した時点で柱面はあまり太らないとしたが、多少は成長する・・・自然はいつも適当)

・螺旋の起点が必ずしも中心にあるとは限らない。



余談 3 オストワールド ライプニング現象

下仁田型水晶を観察していて

  
共存している大小の結晶のスケールの格差が大きい。

オストワールド ライプニング現象か。
大小の結晶を一定の過飽和度の同じ溶液の中に入れておくと、小さい方の結晶が溶けて、大きい方の結晶だけが一層大きくなる。
(溶解度と表面積の関係)=溶けた養分が大きい方の結晶に取り込まれる。

二回に分けて物質が供給されたか?→ 山入水晶は見られないよ?

・溶液が結晶の頭が隠れるほど満たされていなかったのか、ヒタヒタ?

・臨界温度のはざま(気相と液相せめぎ合い)で頭が隠れないし、物質の供給も少ない。

ラスト!

 

 余談 4 正四面体、点と点をつなげて、このような形にもなります。
  
ケプラーの星型八面体。中心の空洞部分は八面体になります。
(褐色の鉱物は磁鉄鉱の自形結晶、八面体)

単位胞がつながり、このような結晶核もできるのでは?

 

なんとなく六角形。 

 

 外環黒線が両錐水晶に見える?

 面や稜が抜きつ抜かれつ成長するとこのような形にもなるか?

   黒く塗られた窪みをキンクとみれば、結晶速度が相対的に速いから矢印の方向に延びる?
そして、ダブル六角錐 "そろばん玉”出現!

なんてね。





 以上、最後駆け足になりましたが私の夢想はとりあえずここまで。

ああ、真剣に遊ぶのって、楽しいな!

   

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